結論から。おさらい会・浴衣会は、お弟子さんが手持ちの着物で踊る「気軽な発表の場」です。かつら・プロの照明・生演奏がそろう発表会(本会)とは、舞台のつくりも客席の空気も違います。ただし呼び方は教室ごとに違うので、名前ではなく案内に書かれた「会場・入場料・衣裳」の3点で見分けるのが確実です。
日本舞踊のおさらい会とは?
お弟子さんが稽古の成果を見せる、手づくりの発表会です。 プロの手を借りるのは最小限で、出演者どうしで支度も裏方も回します。
日本舞踊家の尾上菊右佐さんは、おさらい会を「プロに頼むのはヘアセットのみです。化粧、着付け、照明、音響もすべて自分達で手がけます」と説明しています(尾上菊右佐 おさらい会と発表会の違い)。かつらを掛けず、地毛を結って素踊りに近い形で出ることが多いのはこのためです。
客席は出演者の家族・友人が中心で、入場無料の会もよくあります。踊る曲も、子どもの手ほどきで習う『菊づくし』のような短い曲から、何年も習った人の大曲までさまざまです。
浴衣会とは? おさらい会との違い
浴衣会は、稽古場や料亭の広間などで開く、おさらい会よりさらにくだけた会です。 自前の着物や浴衣で踊り、夏に開く教室が多く見られます。
日本舞踊家の西川矢右衛門さんは、浴衣会を「料亭などの大広間を貸し切ってやる」「自前の着物で参加出来る発表会」と紹介し、踊ったあとに宴会でゲームや隠し芸を楽しむ例を挙げています(西川矢右衛門ブログ)。早稲田大学の日本舞踊研究会も、8月に「前期の成果発表」として先生の自宅で浴衣会を開いていると紹介されています(早稲田ウィークリー)。
舞台と客席の区切りがはっきりしない会場もあり、踊り手との距離はとても近くなります。
発表会(本会)とは何が違う?
違いは「舞台をプロが整えるかどうか」です。 本会は劇場やホールの本舞台で、衣裳・かつら・照明・地方(演奏者)まで専門家がそろいます。
尾上菊右佐さんは発表会(本舞台)を「かつらや衣装の拵えをして、舞台には大道具やプロの照明、音響などが揃う舞台」としています(前掲)。西川矢右衛門さんも、本格的な舞踊会は長唄・清元・常磐津などの演奏家による生演奏が特徴だと書いています(前掲)。
見る側から見た違いを、あくまで目安としてまとめます。会によって違うので、最後は案内で確かめてください。
| おさらい会・勉強会 | 浴衣会 | 発表会(本会) | |
|---|---|---|---|
| 会場 | 小ホール・公民館・稽古場など | 稽古場・料亭の広間など | 劇場・ホールの本舞台 |
| 出演者の姿 | 手持ちの着物、素踊りが多い | 浴衣・自前の着物 | かつら・衣裳付け、白塗りも |
| 入場 | 無料の会も多い | 関係者のみが多い | チケット制が多い |
| 見る人の服装 | 普段着でよい | 浴衣でよい | きれいめの普段着 |
「おさらい会」と書いてあっても、本会並みのことがある?
あります。呼び方は教室や地域で違います。 同じ「おさらい会」でも、地元の市民会館で複数の流派が合同で開く会をそう呼ぶ例もあります(西川矢右衛門ブログ)。
藤間恵都子教室も、発表の場は「劇場での発表会のときもあるし、稽古場での浴衣会や講習会のような形式の時もあります」と書いています(藤間恵都子教室 Q&A)。名前だけで規模を決めつけず、案内状で次の3つを見てください。
- 会場:「◯◯ホール」「◯◯劇場」なら本会寄り、「稽古場」「料亭」なら浴衣会寄り
- 入場料:チケット制か、入場無料か
- 衣裳の書き方:「衣裳付」「素踊り」「浴衣」などの注記
おさらい会・浴衣会に招かれたら、何に気をつける?
出番の前に着くこと、静かに見ること、撮影は主催者の案内に従うこと。この3つで十分です。 気楽な会でも、踊る人にとっては大切な本番です。
小さな会は時間どおりに進まないこともあるので、誘ってくれた人に「何番目ごろに出るか」を聞いておくと安心です。ご祝儀は無料の会なら花やお菓子で足ります(詳しくは発表会のご祝儀)。服装は「浴衣会」と明記された会なら浴衣で構わないと着物メディアも書いています(和ものびと)。
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- 菊づくし — 子どものおさらい会でよく踊られる、基本の型の見本の曲