用語集 見る人のための50語
番組・解説・隣の席の会話に出てくることばを、見る人の目線で。本文中の点線のことばをタップしても、ここに来ます。
公演のプログラム。曲名の前に音楽の種類(長唄・清元…)、流派と名取名、地方(唄・三味線・鳴物)の名前、後見が載る。「素踊り」の注記があることも。
踊り手のこと。地方(演奏者)に対する言葉。
唄・三味線・鳴物(囃子)など、舞台で演奏する人たち。人数と並び方で音楽の種類がわかる。
演奏者が舞台上に姿を見せて演奏する形式。長唄は雛壇に横一列。
常磐津・清元・義太夫などの浄瑠璃を、舞台上で見台の前に座って語る形式。
三味線以外の楽器全般。笛・小鼓・大鼓・太鼓。長唄の大編成に入る。
踊り手を舞台上で助ける係。衣裳を替え、道具を渡し、要らなくなった道具を消す。黒衣と裃後見がある。
全身黒の後見。「黒=見えない」という約束なので、目で追わないのが観客の作法。
裃姿の後見。松羽目物など格式の高い舞踊で多い。同門の先輩や師匠格が務める。
家元から流派の芸名(流派名+個人名)を許された人。入門から3〜5年以上、名披露目に数十万〜百数十万円かかることが多い。
弟子を取って教える資格。名取のあと数年で試験を受ける。
流派の芸を受け継ぎ、名取や師範を許す、組織の頂点。
芸の系統。日本舞踊協会には108流派が所属し、花柳・藤間・若柳・西川・坂東が五大流派。番組の名前の頭が流派名。
「所作台」とも。桧の板を舞台に敷いた置き舞台。足のすべりをよくし、足拍子を響かせる。
能舞台を模した背景。正面に老松、左右に竹。能・狂言由来の曲(連獅子・賤機帯など)の目印。
水色の幕。一気に落とす「振り落とし」で華やかな舞台が現れる場面転換の演出。
素踊りや上方舞の背景。大道具を使わず屏風だけを置く。
客席を貫く登退場路。揚幕から七分・舞台から三分の「七三」で一度止まって見得や台詞。県のホールにはないことが多い。
紋付袴(男)や紋付の着流し(女)で、役の衣裳をつけずに踊ること。役は体と扇で示すので技量が試される。祝儀物や勉強会に多い。
役の衣裳・かつら・化粧で踊ること。歌舞伎の舞台とほぼ同じ拵え。本舞台の発表会や名披露目。
重ねて縫った衣裳の糸を後見が抜き、上の衣裳をパッとはがす早替わり。『鷺娘』『娘道成寺』『女伊達』。心や役が変わる合図。
肩の糸を引いて上衣を裏返し、正体を現す仕掛け。『関の扉』『将門』。
烏帽子・水干の男装で舞う女性芸能者。『島の千歳』『浅妻船』『娘道成寺』の花子。女が男装していれば白拍子。
役ごとの型がある。娘は島田、女房は丸髷、武家の妻は片はずし。羽二重で頭を押さえてからかぶる。
曲の最初の部分。人物はまだ登場せず、暗い舞台で唄だけが場面や背景を説明する。『供奴』『越後獅子』には置がない。
「出端(では)」とも。人物が登場する段。姿・小道具・笠で役を判定する。
曲の核。女方では切ない女心を、立役では勇ましさを切々と踊る。動きが遅くなり、袖・手ぬぐい・笠の紐を口にくわえるなどの心情表現が出る。
当時の流行歌を入れ、筋から離れてリズミカルに踊る段。小道具を使わない「手踊り」。意味を追わず楽しむところ。
曲の結び。元の物語へ戻り、最初の小道具が戻ってくることが多い。拍手の準備。
歌詞をそのまま動きにする振り。「山」で手で山の形、「酒」でお酌。歌詞が聞き取れなくても振りが名詞を教えてくれる。
扇や手ぬぐいを別のものに見せる技法。扇は月・波・盃・刀に、手ぬぐいは涙を拭く布にも綱にも。
「キメ」とも。動きと音楽が止まり、形を見せる瞬間。感情が凝縮する。歌舞伎では掛け声が飛ぶ。
動きと静止のあいだの呼吸。「動と静のバランスが舞踊家の技量を示す」。
床を踏み鳴らすリズム。所作台があるから響く。『供奴』の見どころ。
人形のような身振りで踊る技法。異常なほど高ぶった心を表す。『櫓のお七』『操り三番叟』。
舞踊化された立廻り。『吉野山』『女伊達』『雨の五郎』。
女の役。膝を寄せて内股、肘を体に寄せ手を伏せる。素踊りではこれが見分けの手がかり。
男の役。足を開いて足先は外、肘を横に張る。
歌舞伎の音楽から発展した「歌い物」。細棹で音が高く、笛・鼓・太鼓の大編成。明るく風景描写が得意。曲数がいちばん多い。
浄瑠璃系の「語り物」。高い声と繊細な節回しで哀切と色気。中棹。『保名』『三社祭』『玉屋』。
浄瑠璃系の「語り物」。重厚で骨太、ドラマ性が大きい。中棹の出語り。『関の扉』『屋敷娘』『廓八景』。
人形浄瑠璃から来た「語り物」。太棹で低く重く、太夫が情景と心理を熱く語る。『団子売』『吉野山』(掛合)。
上方の座敷で発達した歌い物。地唄舞(上方舞)の伴奏。『黒髪』。屏風と燭台、扇一本。
江戸の短い流行歌。『京の四季』『奴さん』。短くて素踊り向き。
複数の音楽ジャンルの地方が一曲で共演する形式。『吉野山』の清元と義太夫、『紅葉狩』の三方掛合。
唄が止まって三味線だけになる長い間奏。長唄の聴かせどころで、踊り手は扇の技を見せる。短い間奏は「合いの手」。
歌詞・語りの文句。古語なので事前に読んでおくのが最強の予習。文化デジタルライブラリーに現代語訳つきで載っている曲もある。
歌舞伎で見得の瞬間に客席から屋号などを掛けること(大向う)。日本舞踊の会では一般的ではない。
一人の踊り手が扮装を変えて何役も踊る曲群。今日は『藤娘』『鷺娘』『汐汲』『供奴』のように一曲ずつ独立して上演される。
二人の旅の途中を描く曲。『吉野山』『落人』。
恋人や子を失った哀しみで正気を失った人物がさまよう曲。『保名』『賤機帯』『隅田川』。
めでたい詞章で作られた曲。筋はなく、素踊りが多い。『松の緑』『鶴亀』『老松』『島の千歳』。
獅子が主人公の曲。獅子頭、毛振り、牡丹、胡蝶。『連獅子』『鏡獅子』。
能・狂言を歌舞伎舞踊にした曲。背景が松羽目、裃後見。
物売りや大道芸人など庶民の姿を描く曲。『越後獅子』『玉屋』『団子売』。
祭りや年中行事を題材にした曲。鳶・芸者・木遣り。『三社祭』『勢獅子』『俄獅子』。
教室の勉強会。弟子たちが裏方も自分たちで担い、入場無料が多い。「浴衣会」とも。本舞台の発表会(本会)より気楽。
名取になったことを披露する記念の舞台。『松の緑』などの祝儀曲を踊る。