結論から。唄っているなら長唄・端唄・地唄(歌い物)、芝居のように語っているなら清元・常磐津・義太夫(語り物)。それだけで半分は聞き分けられます。あとは三味線の音の高さと、演奏者の人数です。
まず「唄」か「語り」か
歌舞伎舞踊の三味線音楽は長唄・義太夫・常磐津・清元の4つで、唄物(長唄)と語り物(義太夫・常磐津・清元)に分かれます(出典:文化デジタルライブラリー「歌舞伎舞踊の音楽」)。日本舞踊ではこれに端唄・地唄・大和楽が加わります。
早見表
| 音楽 | 三味線 | 声 | 見た目の目印 | 代表曲 |
|---|---|---|---|---|
| 長唄 | 細棹(高い) | 唄う。明るくリズミカル、風景描写 | 唄い手が横一列、笛・小鼓・大鼓・太鼓 | 藤娘・越後獅子・松の緑 |
| 清元 | 中棹 | 語る。高い声で繊細、哀切と色気 | 見台の前に少人数 | 保名・三社祭・玉屋 |
| 常磐津 | 中棹 | 語る。重厚で骨太、ドラマ性 | 見台の前に少人数(出語り) | 関の扉・屋敷娘・廓八景 |
| 義太夫 | 太棹(低い) | 語る。情景と心理を熱く | 太夫と三味線が対 | 団子売・吉野山(掛合) |
| 地唄 | 中棹 | 唄う。上方の座敷歌 | 屏風と燭台、扇一本 | 黒髪 |
| 端唄 | 細棹 | 唄う。短い流行歌 | 素踊り向き | 京の四季 |
客席での手順
- 幕が開いたら地方(演奏者)の人数を数える。6人以上で笛太鼓あり=長唄の可能性大
- 見台(譜面台)があるか見る。あれば浄瑠璃系(清元・常磐津・義太夫)
- 声が高くて艶っぽい→清元、低めで骨太→常磐津、三味線が太く重い→義太夫、と仮判定
- 番組で答え合わせ
唄が止まったら「合方」
唄が止まって三味線だけになる長い間奏を合方と言います。長唄の聴かせどころで、踊り手は扇の技を見せる時間。「退屈」ではなく「一番技術が見える時間」です。
聞き比べに向く動画
1分で長唄・清元・義太夫のうたい方を聞き比べられる動画と、常磐津と清元の聴き比べ講座を音を聴くのページに埋め込んでいます。初回は「唄か語りか」だけ判定できれば十分。3回目の公演で聞き分けられるようになります。