結論から。名取(なとり)は、家元から流派の芸名(流派名+個人名)を許された人のことです。入門から3〜5年以上かかり、坂東流は最低3年、「10年経ってもなれないこともある」とも。その記念に開く舞台が名披露目(なびろめ)。招かれた側に必要なのは、演目を3行読んでおくことと、「おめでとうございます」の一言です。
名取になるまで
- 入門:礼、着付け、すり足、扇。一曲に半年
- 名取:師匠の推薦を受けて家元が許す。「踊りだけではなく知識や行儀もわきまえた者という証」(藤間恵都子教室)。名取料は20〜50万円、名披露目に数十万〜百数十万円という記事があり、合計100〜200万円の体験談もあります
- 師範:名取後、数年で試験(20分程度の曲を2曲など)。弟子を取って教えられる
費用は流派・教室で幅が大きく、「10〜30万円前後」とする記事もあります。家族の場合、本人に聞くのが確実です。
名披露目の舞台で踊られる曲
祝儀曲が定番です。『松の緑』は四世杵屋六三郎が娘の名披露目のために作曲した曲で、「禿が松の位の太夫に成長するように」という祈り。約8分、冒頭1分15秒は三味線だけの前弾きです。→ 松の緑
ほかに『鶴亀』『老松』『島の千歳』。どれも筋はなく、扇の技と合方(三味線の間奏)を見る曲です。
招かれた側の準備
- 演目を演目ページで3行読む。祝儀物は「筋を探さない」が正解
- 出番の20〜30分前に着席。撮影はしない
- 花は3,000〜5,000円、連名なら5,000〜10,000円。楽屋見舞いは帰りの荷物にならないもの
- 祝儀は「あくまで任意」(藤間恵都子教室 Q&A)
- 終演後は「おめでとうございます」と、良かった場面を一つ
番組の名前を読む
名披露目の番組には、新しい芸名が初めて載ります。「花柳◯◯」「藤間◯◯」という名前の頭が流派名。その名前が印刷されるまでに何年もかかっている、と知って見ると拍手の意味が変わります。→ 流派と名取