結論から。日本舞踊の舞台には、踊り手(立方)のほかに、演奏する地方(じかた)と、踊り手を助ける後見(こうけん)がいます。この3語を知るだけで、幕が開いたときに「誰が何をしているか」が見えます。
立方(たちかた)=踊り手
番組に「花柳◯◯」「藤間◯◯」と書かれている人。名前の頭が流派名で、家元から芸名を許された「名取」が踊ります。→ 番組の名前の意味
地方(じかた)=演奏者
舞台の奥や横に並ぶ、唄・三味線・鳴物(笛・小鼓・大鼓・太鼓)の人たち。歌舞伎の解説では「タテ唄とタテ三味線が中央に並んで呼吸を合わせ、全体をリード」します(歌舞伎美人「音楽」)。
人数と並び方で音楽の種類がわかります。唄い手が横一列で笛太鼓が入れば長唄、見台の前に少人数なら清元・常磐津・義太夫。番組に地方の名前(唄 杵屋◯◯、三味線 ◯◯)が載っていれば生演奏。載っていなければ録音のこともあります。
踊り手が止まっているときは地方を見る。唄が止まって三味線だけになる「合方」は演奏の聴かせどころです。→ 地方の見方
後見(こうけん)=いても「いない人」
踊り手を舞台上で助ける係。「その助けで瞬時に衣裳や髪型を替えたり、道具を手にしたり、不要になった道具は消したりできます」(歌舞伎演目案内「後見と黒衣」)。全身黒の「黒衣」は「黒=見えない」という約束。裃姿の後見は格式の高い曲で、同門の先輩や師匠格が務めます。
初めての人は、小道具が増えたり消えたりした瞬間を一度だけ見つけて、あとは目を踊り手に戻す。それが観客の作法です。→ 後見と黒衣
あと2つ覚えるなら
- 所作舞台(所作台):床に敷いた桧の板。足拍子が「トン」と響くのはこの板のおかげ
- 番組(ばんぐみ):プログラムのこと。音楽の種類+曲名、流派+名取名、地方、後見の順に載る
用語は用語集に50語。本文中の点線のことばをタップしても意味が出ます。