結論から。日本舞踊は、歌舞伎の振付師が町の人々に踊りを教えたのがルーツで、歌舞伎の中の舞踊場面(所作事)が独立して一曲になったものです。だから曲の型・技法・音楽はほぼ共通。違うのは「誰が」「どんな姿で」「どのくらいの長さで」踊るかです。
共通しているもの
- 曲の型:置→出→クドキ→踊り地→チラシ(国立劇場 文化デジタルライブラリーの整理)
- 技法:当て振り、見立て、見得、引き抜き・ぶっかえり、人形振り
- 音楽:長唄・清元・常磐津・義太夫
- 演目:『藤娘』『娘道成寺』『鷺娘』『供奴』などは歌舞伎舞踊がそのまま日本舞踊の曲
明治末に坪内逍遙が「舞踊」という言葉を作り、日本舞踊協会には108流派が所属しています(日本舞踊協会「日本舞踊とは」)。
違うもの
| 歌舞伎 | 日本舞踊 | |
|---|---|---|
| 踊り手 | 男性のみ | 性別制限なし |
| 衣裳 | 必須 | 素踊り(紋付袴・着流し)でも |
| 長さ | 数十分〜一日 | 一曲が数分〜数十分 |
| 場所 | 劇場 | 「畳二畳あれば」教室・会館・料亭でも |
| 掛け声 | 大向うが屋号を掛ける | 一般的でない |
女形と立役の歴史
1629年に歌舞伎で女性の出演が禁じられ、男性が女役を演じる「女形」が生まれました。女らしさを「型」にする技術はそこから発達し、日本舞踊の女の役(膝を寄せて内股、肘を体に寄せる)にも受け継がれています。日本舞踊では性別を問わず、女性が奴や白拍子を、男性が娘を踊ります。
歌舞伎を見たことがある人へ
歌舞伎座で舞踊の演目を見たことがあれば、日本舞踊の公演は「その舞踊場面だけを、いろいろな流派の踊り手が一曲ずつ踊る会」と思えば近い。掛け声はかけず、拍手は曲の終わりに周囲に合わせます。→ 客席の作法